「コブちゃん!
こんな所から落ちたら、スゲー痛いんだぞ!
それでもいいのかっ!」
「シチロー!アンタもっとマシな引き止め方知らないのっ!」
ピントの外れたシチローの言動のおかげで、この緊迫した状況にも関わらず、その危機感は周りの買い物客達に全く伝わっていなかった。
きっと、コントか何かの練習でもしていると思ったのだろう……この四人に関わろうとする者は誰もいない。
手すりを乗り越えようともがく子豚と、その子豚にしがみつくひろき。
そして、必死に子豚を説得しようとするが、イマイチ言っている事が支離滅裂なシチロー……
このままでは埒があかないと感じたてぃーだは、デパートの警備員に助けを求めようと考えた。
「シチロー!ひろき!
アタシ、下に行って警備員呼んで来るから、それまで持ちこたえていて!」
そう叫んで、てぃーだが走り出そうと足を踏み出したその瞬間だった!
突然、四人の背後から声が聞こえた。
「自ら命を絶とうなんて、愚の骨頂というものだよ!お嬢さん!」
見ると、いつの間にか子豚達の後ろには、一人の男が仁王立ちしていた。
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