これはもはや、冷やかしや子豚の勘違いという類のものでは無い。
「アナタ、背中のファスナーが開いてますよ」なんて言う、ドッチラケな展開は、もはやクリアしたのは確実だった。
青年は、その認識をさらに確定付ける。
「初対面の女性にこんな事を言うのは、何とも図々しいのは承知の上です!しかし、それでも僕は貴女が欲しい!今の僕には、貴女が必要なんです!」
(キタアァァーーーッ☆)
これはもはやプロポーズと捕らえても差し支えない台詞である。
子豚の脳内では、すでにこの超イケメン青年との結婚式の模様が、ハート型の大画面の中に鮮明に映し出されていた。
バージンロードの上を歩く子豚の体重は、既に十キロ以上減量されており、来賓客の顔ぶれはセレブな客層で埋め尽くされている。
その中での青年の職業は、若くしてIT関連の急成長ベンチャー企業の社長であった。
☆☆☆☆☆☆☆
「私なんかで、本当にいいんですか……」
伏し目がちに、少し控えめな口調で青年に問いかける子豚。
その子豚を見る青年の顔は、真剣そのものだった。
「もちろんです!
貴女さえ良ければ、僕と……僕と…………」
.



