いきなり話の腰を折られて、少し不愉快そうにケータイの持ち主のひろきを見る男。
「何よ、タイミング悪いわね~ケータイ切っときなさいよ!」
子豚にそう言われるものの、ひろきはその言葉には耳を貸さない。
「ダメだよ!いつ友達から掛かって来るか分からないんだから!」
そう言ってケータイを開き文面を確認すると、ひろきに送られて来たメールはシチローからのものだった。
《ティダとコブちゃんも一緒なんだ♪こっちは仕事だよ……》
メールを読んだひろきは、すぐに返信用の文章を作成し、再びそれをシチローへと送信する。
《忙しいんだね……早く四人で逢えたらいいのに!》
そんなひろきに向かって、男がわざとらしく咳払いをする。
「コホン!え~と、もういいかな君?……そもそも探偵の仕事ってのはだね……」
しかし、再び男が話を始めた時……今度は男のケータイが鳴りだした。
「ありゃ、こっちもメールだ……」
「もう!何よさっきから!アンタもケータイ切っときなさいよ!」
「いや、申し訳無い。
けど仕事柄、ケータイの電源は切れなくってね……何しろ、情報が命の商売だから♪」
そう言って、男は素早くケータイを開くと、五秒程で短い返信をして再びケータイをポケットにしまった。
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