一方、男の方はキッチンで、鼻歌混じりで三人の来客の為にコーヒーを淹れていた。
「ん~、やっぱりストローがあった方が良いかな……」
男がお盆にアイスコーヒーの入ったグラスを四つ並べ、戸棚からストローを取り出そうとした時だった。
突然ポケットの中のケータイからメールの着信音が鳴りだしたのだ。
「ん?メールだ……」
男は無造作にケータイを開くと、手早く文面を読み短めの返信をして、またケータイをポケットにしまった。
そして、アイスコーヒーの並んだお盆を持って、三人の待つリビングへと向かう。
「おまたせ♪
シロップとミルクは、各自好きなだけ入れてね♪」
キッチンからリビングに戻って来た男は、そう言って三人の前にそれぞれアイスコーヒーを置くと、残った自分のグラスを持って三人の向かい側の席に座った。
「さて、それでは探偵の仕事について少し説明しようか……そもそも、探偵ってのは……」
ところが、男が席に着き、話の本題に入ろうとしたその時。
突然けたたましく、今ヒット中のJポップのメロディーが、事務所の中に響き渡ったのだ。
「あっ!ちょっとタイム~メールが来ちゃった!」
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