戸惑う信者達、そして冷めた表情のチャリパイの視線をよそに、朝唐将宙とその妻、和子の夫婦喧嘩は続いた。
「大体、ゴミの捨て方だって、ペットボトルとキャップは分別しなさいってあれほど言ってたのにやらなかったし!」
「お前こそ、俺がニンジンを嫌いなの知っていて、わざわざ晩飯のカレーにニンジン入れやがって!」
その内容は、日常の些細な出来事にまで及び、二人の罵り合いはヒートアップしていく。
可哀想なのは、この模様を呆然とした表情で見ている大勢の信者達である。
何しろ、今まで“神”と崇め続けてきた大教祖『朝唐将宙』が、今はその威厳もどこへやら、カレーにニンジン入れたなどと甚だスケールの小さい事で醜い言い争いをしているのだから。
「とにかく、かおりを返して頂戴!」
「いや!かおりは渡さん!かおりは俺と暮らすんだ!」
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