「お前ら、席つけー」 先生が良いタイミングで来た。そう言われて坂本君は元に戻る。にっこり笑って、消しゴム掲げてありがとうって笑う。 あ、…笑顔。 苛立ちながら「疲れた」って顔してるんじゃなくて、本当に「悲しそう」に笑ってる笑顔。 『――坂本君はいっつも、笑ってないよ?』 聞こうと思った言葉。 …――彼はいつになったら、笑うんだろう。