「大丈夫か?」
「うん、ありがとう」
「おう。感謝しろよ。」

一言多い気がするけど、命の恩人に変わりはないから感謝しておく事にしよう。

「部屋まで送んなくて平気か?」
「うん。もうおさまったから大丈夫!」
「そっか・・・」

早く戻らないと、お母さんもきっと心配する。

「ありがと緋影。じゃあね」

再び別れを告げて、戻る。
部屋までの距離は残りわずかだったので、発作が起きる事もなかった。

「・・・ただいまお母さん」
「あ、お帰り。良かった・・・心配したのよ?発作は起こらなかった?」
「はい、平気です。」
「そう、良かった」

心配かけたくなかったし、外出禁止を出されても嫌だったので、さっきの発作の事は黙っておく事にした。
だって・・・

「ねえ、麻朝ちゃん」
「はい」
「もうすぐ誕生日よね?」
「はい」

そう、4日後は、私の15歳の誕生日なのだ。
だからこんな時に外出禁止なんて絶対嫌だった。

何かほしいものはある?」
「・・・ほしいもの・・・?」
「ええ。」
「・・・蝶の・・・」
「え?」
「私、蝶の髪留めがほしいです。」
「蝶の髪留め?・・・ふふ、分かったわ。あなたはほんとに蝶が好きね・・・。」
「はい」

好きなんて簡単な言葉じゃ足りない。
蝶は私の友達・・・いや、分身とさえ思える。

「(友達・・・だったら・・・)」

緋影もそうなるのかな
そうだといいな・・・

「緋影・・・」
「?麻朝ちゃん、今何か言った?」
「なんでもないです、お母さん。」
「そう?ならいいけど。」