「あ、あのさ」

男は私に近寄って話しかけて来た。

「ライヴ…終わってないよね?抜けた?」

この男は向かいのライヴハウスの事を言って居るのだろう。

どうりで紙束を沢山持っている訳だ。

まあ、宣伝と言った所か。



「抜けたというか、ライヴ行ってませんし。」


私はあっさり答えた。

「行ってない?」

「行ってない。」


「でもさ、ここってライヴ意外で来る場所じゃないよね?」

男は不思議そうに聞いてくる。


「私はここから見える景色が好きなんです、ほら、星とか沢山見えるでしょ?」


「あぁ、空…。珍しいね空なんて。」

「綺麗だから。それよりあなたは?」


「お、俺?んー、ビラ配り?」