質問に答えるようにゆっくりと頷いてみせる。
それを見た途端、
「ガッコのセンセーの癖に未成年の男の子を家にあげちゃって良いの?」
「だ、だってそれは!」
「どこのガッコ? まさかウチの高校だったりして……」
「あっ! ちょっと!」
さっきまでの人懐っこい笑顔を意地の悪い笑みに変えた斎木くんが、校章の入った封筒を手に取った。
バレたらヤバイ!
咄嗟にそう思ってわたしは慌てて部屋の中へと駆け込んだ。
斎木くんが持ってる封筒に必死に手を伸ばした瞬間。
「……嘘」
「えっ」
「だってセンセーは俺が高校生ってわかってたのに泊めてくれるって言ってくれたんでしょ?」
ずっと笑顔を浮かべていた斎木くんの表情にふっと寂しさが宿った。
肩透かしを食らって呆気に取られたわたしに、
「優しいね、センセー」
斎木くんは大人しく封筒を差し出してきた。

