放課後sugary time


一人暮らしをはじめて3年。


初めて友達以外を家に泊めるというのに、


「お邪魔しまーす。へぇシンプルな部屋だね」


その相手が高校生の男の子なんて……。
しかも有名進学校の問題児。


……やっぱり止めとけば良かった。


必要最低限のモノで構成されたわたしの部屋を見渡す茶髪の後ろ姿を見つめながら深い後悔が襲う。


引き返すなら今しかない。
いくらごり押しされたからって、この状況を見たら人は大の大人が高校生を家に連れ込んだとしか思わない。

しかも仮にも高校の教師だ。

いくら非常勤講師だろうと正職員より給料も待遇も悪かろうと……世間の人はそんなところ見てくれない。


子どもに道徳を教える立場の人間がモラルに反することをするなんてやっぱり許されないことだ。



玄関に突っ立って頭の中でグルグルとひとりごちる。


やっぱり出て行って欲しい。


その一言をどう切り出すか。
完全に言いあぐねているわたしに、


「もしかして……ガッコのセンセー?」


本棚でただの飾りと化していた教育関連の本を指差した彼が少し驚いた顔を見せた。