「お礼にボディーガードしたげるよ」 そう言って斎木くんは何の躊躇いもなくわたしの手を握り締める。 指の間に絡む彼の指は長くてヒンヤリとしていた。 「あ、あの……」 「あったかいね、手」 呟いてわたしの目を見つめて笑うから、離して欲しいって伝えようとしたのに出鼻をくじかれてしまう。 ……離してって言いそびれてしまった。 その後も何度となくタイミングを窺ったけど、結局アパートに着くまで斎木くんの手はわたしから離れることはなかった。