「だったら他に……友達の家とか」
「家の人に迷惑じゃん」
「だったら……ビジネスホテルとか」
「制服じゃ無理だと思うけど」
「うーん……」
斎木くんは何を提案してみてもこんな調子で交わしてしまう。
まるでわたしの家に泊まるしか答えが無いって言わんばかりに……。
……こうなったらもうわたしが折れるしかないか。
「……一日だけなら」
こんな時こそ流されやすいこの性格が恨めしい。
渋々とはいえ結果的には頷いてしまった。
そんなあからさまに渋い顔をしたわたしに、
「ありがとう! 助かったよ」
やっぱり彼の笑顔は人懐っこくて華やかだった。

