放課後sugary time


「次はあなたの番です」


「……………」


「彼の幸せを見届けて満足なんて言わせません」


「えっ……っ!!」


向かい合って座っていた秘書の彼は、わたしが拒んだハンカチを再び握り締めて腰を上げる。


そうして伸ばした手でわたしの頬を伝っていく涙を優しい手つきで拭っていった。


今まで何度顔を合わせたって一度だって一定の距離感を守り、表情も態度も崩さなかった人だ。


驚きで思わず息を飲んでしまう。



「あなたには何度も拒まれましたが……あなたの涙にはいつも胸が締め付けられていました。だから、あなたの様子を窺いに来る度にいつかはあなたの笑顔が見られればと思っていました」


表情こそあまり変わらないけど、声色が少し熱を含んでいて……感情の高ぶりを初めて彼から感じた。