放課後sugary time


言いなりになったんじゃない。


威千都を想って身を引くんだって、自分を奮い立たせるために虚勢を張る。


こうしてないときっとわたしはこの先、真っ直ぐに立っていられないから……。



「威千都さんが固執したのはあなただけです。旦那様と奥様が離婚され、長男というだけでご兄弟と離され旦那様に引き取られた威千都さんの荒んだ気持ちに寄り添えたのはあなただけでした」


また、ご連絡致します。


そう告げて丁寧にお辞儀をした彼は部屋を後にした。


パタンと静かにドアが閉まる音を皮切りに、また涙がこぼれ落ち始める。


優しさか慰めかで最後に告げられたら言葉が余計に威千都の傍を離れたくないって想いを強く恋しくさせた。


まるで涙腺が壊れてしまったんじゃないかって思うくらい涙は止まらない。


今はそれでも良い……。
威千都を想って流す涙すら幸せに思えたから。