「このことが明るみになって傷つくのはあなた方お二人です。更に立場上責められるのは当然あなただ」
「…………」
「今はお辛いと思いますが、この先威千都さんがもっと辛い思いをされることを思えば……ご理解頂けますね?」
そう言って差し出されたハンカチを見て、自分が泣いてるっていうことに初めて意識がいった。
この人が言ってることは正論だ。
わたしは誰に責められたって良い……。
でも、威千都が辛い思いをすることは耐えられなかった。
差し出されたハンカチを拒み、涙でぼやけた視界で腕時計を確認する。
いつもわたしが帰宅する時間をとっくに過ぎていて、威千都は今頃心配してるかもしれない……。

