そこに撮されていたのは、あの小雨の夜に玄関の前でわたしと威千都がキスをしている姿だった。
「威千都さんがお家に帰りたがらないのは今に始まったことではありませんので、会長も問題さえ起こさなければ……と、見守っていたのですが」
言葉を切った秘書の男性はわたしに視線を向ける。
「わたしが高校教師だから……」
「大人が、ましてや教育者が未成年を親元にも帰さず家に住まわせている……。あなたと威千都さんの間にどんな感情があろうと世間はそうは見てくれません」
淡々と語られる言葉は鉛のようにゆっくりとわたしの中に落ちていく。
わたしがどんなに威千都を想っていたって……威千都はわたしのモノではない。

