「大事な人に後悔なんて言葉、使わせないくらい強い人になりたい」


そう言って威千都が表情を隠すようにわたしの胸元に顔を埋めた。


その寂しげな声色に胸の奥がちりっと鈍い痛みを覚える。


「待ってるよ……威千都が大人になるまで。だから焦らないで」


威千都の髪を撫でながら言った言葉はまるで自分に言い聞かせてるみたいだった。



今はお互いの立場があるから……後悔なんて言葉が出てしまうけど、いつかはそんな言葉も出ないくらい威千都を幸せにしたいって……心から思っていた。