「……信じてよ、俺を」 去り際に小さく呟いた声も聞こえないふりで交わす。 掠れた声色と喉が詰まったような途切れた語尾。 切なげなそぶりに振り返りたい衝動を必死に抑えた。 彼はわたしに好かれたいワケじゃない。 彼は体も心も支配出来る相手が欲しいだけ。 そうひたすら自分に言い聞かせ、わたしは踵の痛みも忘れてアパートに駆け込んでいった。