それと同時に怒りが湧く。
……こんなことにも気付けず、絆されそうになっていた自分のバカさ加減。
そして25年間男性を知らずに生きてきた自分のコンプレックスに。
「こんなこと……するなんて思ってなかった!」
「愛衣ちゃんっ」
「触らないで!」
動きの止まった威千都の下から這い出し、ベッドの端で身を縮めるわたしに手が伸びる。
それを睨み付けて拒む瞳から温い雫が零れ始めた。
威千都を家に入れてしまった後悔。
心を絆されそうになっていた油断。
男性を知らない自分への自己嫌悪。
それらが頭の中でグチャグチャになって、怒りと涙に姿を変えて現れたのだ。
「……ごめん愛衣ちゃん。俺、わかんないから」
「…………」
「どうやったら愛衣ちゃんが俺のこと、好きになってくれるか……わかんなくて」
威千都の存在を拒絶するように向けた背中に向けて聞こえる声がか細い。

