知ってる。

そんな事わたしも、彼も簡単にできる組織にいるんだから、脅しじゃない事くらいわかる。



彼は何も言わなくなったわたしを見て、体を起こした後、わたしを抱きしめてきた。




「たくさん甘えていいですよ」

「セノっ、セノっ…!」

「宝さん」


彼にキスをする。

人から攻められるのが苦手なのか初めてなのか、かなり初々しい反応をする。

それに満足して、もう一度キスをした。



VIPルームはただキスをするだけの空間となっていた。




「今度来る時は、帰りもよろしく」

「っ……」


それはアフターって事だろうか。

意外と大胆だな、って思う反面、
ようやくその時がきたなと。



「宝さんが指名してくれたらですね」


わたしはただ、そう答えてた。