エージェント





「宝、さん」

「っ、」

彼の耳元近くで声を出す。

すると彼はビクッとする。



「どうしてわたしと2人っきりになったんですか」

「っ……」

「宝さん?」

「……君が、綺麗だったから、だよ」


ボソボソと呟く彼。

初っ端から思いっきり攻めすぎた感はあるけれど、これならママにチクることもなさそうな感じ。



ありがたいことにここは外からは誰も見れない。

確認した感じ、防犯カメラも盗聴器もなさそうだ。


宝さんの太ももに手を伸ばすと、彼は潤んだ目でこっちを見てくる。



「本城組がどんな組かしってる?」

「えぇ、もちろんです」

「俺、そこの若頭なの。君がどうなってもしらないよ?」

「まあ大変。でもそうしたら、宝さんと会えなくなってしまうんですか?」


すこし、寂しげな表情で答える。

もちろん演技だ。