エージェント




ソワソワ…?



「あの、本城さん…」

「あ、うん、宝でいいよ」

「宝さん…」



ちょっと照れたように、グラス片手に下を向く彼は、きっと。


「……緊張してます?」

「あーあーあー!!あんまり言わないでっ、」


ーーかなり緊張しているらしい。



心の中でニヤリとしてしまった。

ちょっと攻撃的なわたしの悪い癖が出てきそうだ。



「そんなこと言わないで下さいっ、」

「ちょっ、」


彼にこちらから詰め寄ると、ちょっと甘えた表情を浮かべつつ、胸元を強調して迫ってみる。

これは夜の世界で身につけた技の一つだ。


朔羅みたいな感じには無理だろうけど、宝さんの反応見る限り、この誘惑には弱そう。


わたしの胸元が視線に入った瞬間、彼は目を逸らした。


ーーこの作戦だな。