エージェント




「あれ?その子は?」

「先週入ったばかりの子で、せっかくなので宝さんにも紹介しようと思って」

「はじめまして、セノと申します」



黒髪でスーツをしっかり身にまとう、一見したら普通のサラリーマンに見える彼だが、れっきとした本職の人間。



「可愛い子が入ったね。こっち座りなよ」


ポンポンと自分の隣りに座るように促す姿は、あの日の彼を思い出す。



「君いく?俺よりも若いでしょ」

「宝さん、早速手を出さないでちょうだいね」

「そんなこと俺がするわけないですって。朔羅じゃあるまいし」

「弟さんはプレイボーイですからね」

「それは否定できないですね」



本城宝は本城組組長の長男であり、あの本城朔羅の兄。

わたしの兄である銀之助と同じような立場の人間。