高校生として動き回る昼間は、そうすることしか出来ないので、ちょっとわたしなりにも動いてみることにした。
銀座の高級クラブ"toxic"
兄の銀に色々手回ししてもらって、阿部コウキとはまた別人を作り上げてもらった。
ここでの名前は"セノ"
12年間使ってた苗字が妹尾(せのお)で、それ由来らしい。
流石に黒髪だと高校生とわたしと被る、でも金髪だと派手すぎるということで、焦げ茶色のヴィッグを付けて、ほんと1週間前から働き始めた。
「セノさん、お仕事慣れるの早いわね」
「まだまだですよ」
toxicで働くにあたってそれなりの理由も、探られてもバレない身元もバッチリしてて、
そして何より、こういう夜の街への潜入はもう数度目という、わりと場数はこなしている。