「朔羅」
「ーーうん。これからはそう呼んで」
「なんで…」
「あと敬語もいらない。なんかコウキちゃんに敬語使われると気持ち悪い」
「は?」
「だってなんか、わりと反発してくるし」
そう言いながら笑う彼、朔羅。
彼の周りが従順なのは、きっと彼の持つ魔性のような雰囲気だろう。
甘やかす、といえばそうなんだけれど、彼の言うように、本当に自由、何をしても許される。
だから彼には何も言わない、言えない。
「朔羅って怒られないでしょ」
「だな。ずっと放任主義で育てられたし」
こういう人間は、よっぽどの問題を起こさない限りは、きっと怒られないだろう。
ただ全く、彼の心の中は見えない。
自分が自由だからこそ、本音を言わないタイプである可能性もある。



