彼は顔を耳元に近づけると、コウキ、と呟いた。


そして空いている手をわたしの唇に近づけると、


「んんんっ!?」


指を使って口を無理やり開かせてきた。



思わずその指を噛んでやろうとしたけれど、彼の方が素早く指を離し、僅かに空いた隙間を狙い、舌をいれてきた。


もちろん、それはキスをするってことであって、この状況にパニクってしまう。



「んっ、」

彼を押し返したいのに腕は拘束されているので動かさず、足もさっきより固定する力を強めてくる。


さすがに逃げ切れないと思い、キスくらいならと諦めてしまった。


それを感じ取ったのか、腕の拘束を早々に解くと、今度はわたしの顔を両手で固定してくる。


さっきよりも、かなりキスは深くなった。