「もし俺がこの学校のトップじゃなかったら、こんなことにはなってなかったかもね」
「…それはこの状況がですか?」
「うーん。全部かな」
「そうですね」
「あっけらかんとしてるね」
「そうでもないですよ。ただ貴方ほど暴君な人は見たことないので」
ーーいや、自分の父親もか。
心の中で思いはしたものの、口には出さなかった。
「暴君は違うなぁ…。勝手にトップにしたもの周りのせいだし、あいつらだって別に従わなくてもいいのに従っちゃうし」
「…………」
「俺は自由なだけだよ」
ーーーー自由。
それがどんなに貴重なものなのか、彼は分かっていない。
セーヤからの情報を見て一番感じたのは、わたしと彼の決定的な違い。
組みのために生きるわたしと、自由に生きる彼との差。



