エージェント






「ーーそれで、話ってのは?」



銀之助は話を元に戻す。




「兄貴に変わって、真ん中のことは俺が仕切る。あの土地は東西に干渉されず、独自の発展をさせる」

「ほう。口では簡単に言うけど、それがどない難しいってわかってるんか」

「知ってる。だから俺がやるんだろ」



自分でもわかっていた。
組の人間として生まれた以上、彼女と同じように、組の人間として生きなければならないことを。



「でも本城の奴らは納得すんのか?」

「その時は実力行使。俺、兄貴よりも強いから」

「そんな噂あるって言いよったなぁ〜」



組長はおろか、若頭にまでも不信感があの一件より強くなったのは知っていた。

そしてその分、あの場をまとめた朔羅に期待を寄せる人が増えたことも。


噂は噂。

でも彼の実力はガキの世界といえど、東のトップだった。




「でもさすがに俺だけじゃ無理。高校卒業したばっかりだし、この世界の仕組みはよくわかってない」

「赤羽がバックアップせえと?」

「そう。俺だけだと本城色強くなるだろ。だから交換条件」

「実際何やるかは決めてんのか?」

「案はある。だが今日はここまでだ」

「俺らんとこの組長に話すけどええな?」

「その為にお前に言ったんだろ」

「ガキにお前と言われたくねぇよ!」



銀之助は感じた。

ーーこの男、頭キレる奴やろ?


若頭の兄とは違い、計算高い。

光希がこいつに惑わされたんも頷ける。



「で、光希んことはどうするんや」

「そうだな…。とりあえず俺がハタチなる頃には迎えに行くでいいか?」

「それまでに真ん中まとめれられへんのやったら、それはチャラや」

「いいぜ」