原因は色々ある。
あれから引きこもった本城麗子。
組長としての仕事は確実にこなしているが、前ほど威勢がなくなった本城 源。
そして組長に頼まれ、真ん中の件を任された本城 宝。
みんながみんな、うまく行ってない。
そんな中、赤羽組若頭、赤羽銀之助が本城の家に来ていた時のこと。
宝との話し合いは平行線のままで、今日はお暇しようと屋敷を出た。
「あんたに、話があるんだけど」
車に乗ろうとした銀之助をとめたのは、朔羅。
「なんや。光希んことなら話さへんで」
「それも含めて」
「チッ、乗れや」
何か言いたいことがあると悟った銀之助は、朔羅を車に乗せる。
「なんや、話し合いって」
「ーー単刀直入に聞く。あいつ、妊娠してるんだろ」
“なっ、ーー!?”
声はあげずとも驚いた顔で朔羅を見る銀之助。
「お前っ…」
「他の奴は知らない。たまたま今日街で見たから」
「あいつっ…」
この日光希は母親と東へ来て、赤羽組一同を騒動させていた日だった。
「お前、それで脅すんか、俺を」
「脅すには十分だろ。腹ん中の子は、本城の血も混ざってる、だろ?」
「立派に脅せるな」
「…まあ、それが、俺か兄貴かなんてわかんねぇけど」
「堕ろしてほしかったか?」
「まさか。もし俺の子だったら、そんなに俺が好きなのかってむしろ疑うし」
「いっぺん、ぶん殴ろうか?」
「それは勘弁」
朔羅は光希がいつまで自分の兄と関係が続いていたのかは知らない。
だけど彼女のお腹の中の子が自分の子である確信はあった。



