エージェント





「で、どうだった?」

「あたしの話は無視かい!まあいいけど。

ーー赤羽光希とエージェントのトップは最近はよく夜の街で喧嘩してるって。どうやら赤羽光希を狙ったものらしいけど、狙った奴らが無事で帰ってきたのは見たことないって」

「まあ、正体がばれたら、狙われるよな」

「狙ってる奴って東の奴らしかったけど。エージェント自体とは関わり少なくて、どちらかといえばトップが赤羽光希に関わってるっていうのかな。あのトップって宮前組の息子でしょ?」

「ふぅん…」


ーー宮前組ねぇ…。


あの日やけに親しそうだった二人を思い出す。



「ーーーで、これがあたしが西へ行く前までの話。


今は全くと言っていいほど、赤羽光希は動いてない」








トダトワの声のトーンが変わる。



「全く?」

「うん。今までは一週間もあれば何度か喧嘩してるって噂あったのに、あたしが行った一週間は全く。というか、たぶん外を出歩いてないんだと思う」

「へぇ…」

「組の仕事とかだったら出歩いてるのかもしれないけど、夜に喧嘩してはないみたい。男達が倒れてる群を見なくなったって、少し噂になってたみたい」

「さんきゅ。それだけでいい」



赤羽光希が動かなくなった理由。

それはなんだ?


この時の朔羅は、光希が妊娠してるなんてことを知る由もなかったが、それも後ほど知ることになる。




本城と赤羽の取っ組み合いから半年。


東西で真ん中をどうするかと揉めに揉めていた。
本城の家も、あまり雰囲気が良くないことも。