両親から大事に、大事に育てられた宝は、一度崩れてしまうと、脆い。
組の中で育てられたこともあって、そっち関係は十分対応できるのだけれど、今回のような前代未聞のことに関しては、すぐに対応できない。
逆に放任主義で育てられた朔羅は、組のことは深く関わってないけれど、外に出て、いろんな人と関わりを持ち、それなりの修羅場も難なく潜りなくてきたので、適材適所のスキルが高い。
東のトップと言われてた所以は、喧嘩の強さ、見た目の良さだけでなく、トップとしての周りを見渡す力があったことも一因だった。
宝が動き出すと、組長も正気を取り戻してくる。
女はまだ動けそうにない。
さすがに自身の母親がこうなっていると同情の気持ちが1割ほどあるが、それ以上にこの女は前科がありすぎて自業自得と思う方が朔羅の中では大きかった。



