エージェント






圧倒的男社会で女が生きるにはそれ相当の覚悟と、それなりの実力が必要。

まだ幼いわたしには、どうしても分からなかった事だろう。


だから妹尾に預け、わたしを守った。




「父さん…」

「なんだ」

「いろいろと、ごめんなさい…」

「そもそもな、無事に中絶なんか無理な時期は過ぎてるんや。まったくわかってへんかったろ?」

「はい…」

「体、大事にしいや」

「うん」





久しぶりに涙が出た。

久しぶりに“父さん”と呼んだ。





やっぱり、わたしには家族が大事だ。






次の日部屋に訪れたセーヤに「光希さん心配させんといてください!」と泣きつかれ、
また銀には「ミツのアホ!」とめちゃくちゃ怒鳴られた。



銀もセーヤにも心配かけすぎたな…。