エージェント






「………」

「特に今回は度が過ぎた。俺が何も知らんと思うてへんよな?
お前はどっちにも手を出した。関係を持ち続けた。

遠く離れて、人恋しかったか?」

「違うっ…」

「お前は赤羽の人間や。わかってるやろ」

「はいっ…」

「なら、俺が言うことはわかるよな?」

「っはい、」



そう。
わたしは赤羽の人間。


この人に、組長に刃向かうことはできない。




「わかってるならそれでいい」



組長はそう言うと、わたしのベッドに腰掛ける。







「光希」

「……はいっ」

「産んでもええで」





「………え」



「お前が何もしなかったのは、産みたいからやろ?」

「え、」

「別にいい。お腹ん中の子には、生まれちゃいけない理由なんてあるかい」

「でもっ…」