「わたしは"赤羽 光希"。お前達がようやく必死こいて見つけた"妹尾 コウキ"はこの世に存在しない。そう名乗っていた時期もあったが、わたしがわたしであるべき為のもの」




妹尾コウキに愛着がないわけではない。
人生の半分以上、12年間使っていた名前だ。

だけれどその名前はわたしが赤羽光希である為のもの。
本当の、わたしではない。





「赤羽…だと!?」



本城組の諜報機関が劣っているわけではない。
それ以上にわたしの存在が隠し続けられていたということ。



わたしが黒い塊を本城麗子に向けると、周りがざわつき始める。
当の本人の目から涙が出ていた。

ーーー怯えろ。

これだけじゃ済まされないことを、お前はやったんだ。



「ーー本城組の組長さん、どうします?妹尾を返して、俺らを穏便に西へ帰してくれはったら、こいつ止めますけど」