「つ、疲れた…」




馬鹿なことを言い出した男を突き放し、タクシーを拾い、新しく住むマンションに着いた。

何もないから、フローリングの床に大の字に転がる。



「最悪だ…」



まさか東へ来た途端、厄介ごとに巻き込まれることになるなんて思わなかった。


サクラという名前以外は連絡先すら知らないあの金髪男子とは、この広い街で出会うことはもうないだろう。



スマホを開くと、セーヤと銀からのメールがズラリと並んでいた。


どちらも、無事に着いたかと心配のメールだ。

わたしをいくつだと思ってるんだ。




「まあ、いい」



とりあえず必要最小限の荷物の整理整頓をする。

今日まとめた荷物は実家に送られるもの以外は後で届くけど、家具、家電はこっちですでに用意されている。