朔羅は妹尾を連れて主屋の、一番大きい部屋に入る。
そこには組長である父と、若頭である兄、そして組員が周りを固める中、関西訛りで話す男がいた。
ーーあれが、赤羽組の若頭か。
全員が朔羅と妹尾が入ってきたことを確認すると、銀之助は話し出した。
「俺は争いに来たんちゃいます。そこの妹尾を返してもらえれば、何もせえへんで大人しく帰ります」
「ははっ、威勢がいいな。でもそう簡単に事が進むと思わない方がいい」
冷戦状態だけが続く。
お互いがお互いに威嚇しあっている。
明らかに人数で劣っているはずの銀之助なのに、本人はことさら負ける気は無いと堂々としていた。
「ーーーほな、取り引きの内容を変えましょうか」
銀之助は不気味な笑顔を浮かべた。



