朔羅が“阿部コウキ”の正体を見抜くために組を使った。
その見返りに妹尾の見張りを任されたのだ。
大事な役割をと思うが、いくら弱っているとはいえ、妹尾は赤羽組傘下でもかなりの実力者であることは知られている。
そして本城源は、朔羅の実力が宝よりも優っていることを見抜いていたのだ。
それとこの役を引き受けたのには理由があった。
「なぁ、あの女の正体って、本当は何なんだよ」
「あの女?誰だ」
「とぼけんな。お前らが東に寄越した女だよ」
「ああ、アイツか」
光希のことだった。
「ーーその反応からすると、妹尾コウキも偽物っぽいな」
「ははっ。なんでそう思う?」
「あんたの反応見たら、自分の娘の反応って感じじゃないだろ」
「ふーん。まあ、そこまで気づいたのはお前が初めてだよ」



