「組長には言ってないよね…?」
「言ったら虎之助さん泣いちゃうわよ。娘取られた〜って」
「絶対そんな事ないって…」
「うふふ」
組長とは一度だけ会って謝ったけど、何も言われなかった。
見捨てられた…のかな、って思ったけど、母さんは違うって言い切る。
「最近、光希ちゃん、痩せてない?」
「そっかな」
「ちゃんとごはん食べてる?」
「元々そんなに食べないし…。動かないからお腹空かない」
「今度一緒にご飯食べましょう!」
「ーーうん」
母さんの笑顔には癒されるなぁ。
ずっと笑顔でいてもらいたい。
そんな日々が続いていた。
エージェントの方は、阿部コウキの捜索が終わって西も東も落ち着いたと聞いている。
本城組のことは、あえてわたしの前では何も話されることはなかったし、わたしも聞くことはなかった。



