「組長は昔からだろ」
「へ?」
「お前は知らねえと思うけど、組長はああ見えて人のことをよく考えてる人だし、抗争とか組長が傷つくようなことは出来るだけ避けてきた人だぞ?」
「…………」
「組長が東攻めるんなら、希子さん保護した時にもうやり合ってるだろ」
「…………」
「あの人は普段厳しいけど、それでも組員の奴等は組長を裏切らないし、むしろ組長を慕ってる奴らばっかりだろ?
ーーお前くらいだよ、組長を恨んでるの」
「……別に恨んでないけど、」
「まあ、ガキん時突き放されてたから、いい気しないのはわかるけどな」
「うん…」
わたしはそもそも、組長のことをよく知らない。
自分の父親のことをちゃんと知らない。
知ろうともしなかった。



