エージェント







「組長、俺らは東を攻めるんすか」




この部屋にいる全ての人が、組長を見る。





「必要なら攻めるが、無闇に組員を傷つけてまで欲しい土地とは思わん」




全員が息を飲んだ。







「妹尾ー!」



会合が終わると、わたしは久しぶりの妹尾に声をかける。


「お、元気にしてたか」

「妹尾も元気そうでよかった」

「俺はお前と違って弱くねぇからな」

「どういう意味よ!」



久しぶりの妹尾。
相変わらずだけど、妹尾はやっぱり妹尾だ。



「あの意外だったんだけど、組長は本城を攻めるつもりないんだね」



最後の組長の一言が忘れられず、妹尾に話してみた。

あの組長なら、全国統一させることも考えてたと思っていたのに。