「サクも、コウキちゃんもずるい!」
「馬鹿なのがいけねぇんだよ」
「あはは…」
さすがにこの学校のテストは簡単だったんだけどな…。
「コウキ」
「ん?」
「無事に帰って来いよ」
「うん」
なぜか朔羅に声かけられた。
あまりにも真剣な表情だったのは気のせいだろうか。
阿部コウキの地元は一応、東の街ではあるんだけど…。
「帰ってきたら、連絡するね」
別に必要ないだろうけど、なぜかそう言ってしまった。
家に帰ると、不法侵入されて取られたらヤバイもの以外は持って帰る準備をする。
とは言っても、基本的に身分証とノートパソコンだけ。
重要な情報はパソコンかスマホに届くし、それ以外は特に問題のないものばかり。
セキュリティ万全のマンションだから、不法侵入なんてあり得ないとは思うけど、念のためにね。