エージェント




部屋に響く、男性の低く逞しい声。



「俺が来るって分かってんのに、いまからヤることヤる奴がいるか!」

「……げ、親父」

「っ……」



朔羅の腕が弱った隙に彼を押し、立ち上がる。


親父ってことは、この人が…。



「なんで来るんだよ。空気読めよ」

「楽太郎くんを一人外に待たせるお前が悪い」

「ラク…お前…」


楽太郎は後ろから、顔をひょっこりとのぞかせる。

してやったりな顔をしているが、きっと後で朔羅にシメられるんだろうな。

常に楽太郎はご愁傷様すぎる。



「あっち行くんだろ」


朔羅も立ち上がると、朔羅の部屋を出て、主屋の方へ向かう。


主屋にもいくつか部屋があるけれど、一番奥の部屋に案内された。


小さい茶室のようなところなので、プライベート空間か何かかな。