エージェント




「トダトワ、宝さんに会うと挙動不審なるのにね〜」


なんて楽太郎はいうけど、わたしはそれどころではない。


トダトワに申し訳なくなる。


仕事のために、好意があるわけでもない宝さんに近づいていることがバレたら、彼女は怒るだろうか。

今まで仕事と、割り切っていたのに、なぜか肩身が狭くなる気持ちだ。



「コウキ」

「ん?」


朔羅は座ってるわたしを後ろから羽交い締めし、体を寄せてくる。


「ちょ、」

「サク!俺の目の前でやめたよね!?」

「見たくないならラクは出て行け」

「出て行くさっ!!」


楽太郎は照れながらこの部屋を出て行くけれど、わたしを置いていかないでほしい。

だって、後ろの朔羅、なんか怖いんだもん。



「ーーコウキちゃんは、何考えたのかな」


耳元で囁いてくる。