無気力少年少女



なんだーなんだー、と言ってる美容師さんから目を離してまた雑誌をみる。
あ、この人久にちょっと似てる、なんてつい考えちゃってそんな自分に驚いて慌ててページをめくった。

この動悸は美容師さんが変なこと言うせい、美容師さんのせい…。


「どした…?」

急に久の声がして吃驚した。
今起きたとこみたいで手で目を擦ってまだ眠たそう。


「顔、赤くなってる」

「うそ!」

鏡を見ると確かに顔が赤い。
どうした、と聞かれても答えられなくて、


「や、なんでも!」

「ぶはっ」

と慌てて言ったら美容師さんが吹き出した。