――程なくして、約束の週末はやって来た。

未だにこれが正しかったのかどうかも決めかねたまま、私は待ち合わせの駅に降り立った。

駅前で待っていると、あの男がやって来たのが遠目にもわかった。

駅前に群がる人混みの中を、まさに肩で風を切るように大股でこちらに向かってくる男――

夕闇の中でも相変わらずサングラスをかけていたが、ライトグレーのスーツを着こなしたその姿は人々の羨望の眼差しを一身に集めていた。

「……お待たせ」

迷うことなく私の前へ歩いてくると、彼はニッと笑った。

「久しぶり……」

出会いが出会いだったこともあり、気まずい思いを隠し切れなかった。