仮面の下に捕らわれて

「委員長、閉館です」

飄々と言ってのける男。
私はその声の主を知っている事に驚いた。

あまりに唐突で相手の正体に気付くのがこの瞬間だったことに驚いた。












「…柏原会長…」


「嫌だなぁ、廣太郎って呼びなよ」

頭が真っ白になる。
相手の言葉の意味が分からない。

「…先ず先ほどの謝罪を。そのあと状況説明を要求します」

「冷静だね。それでこそ、宇奈月百香」

「謝罪と説明を」

「閉館ですよ。場所を変えましょう?」

柏原の手に肩から落ちた自分の上着を見留め、引ったくるように取り返す。


人間腹が立ちすぎたら怒鳴ることも出来ないらしい。
私は手早く自分ね荷物をまとめ、ふつふつと沸いてくる感情を面に出すことなく、この男と歩き出した。