「百香、調子が悪いなら保健室行けよ?」

「……は?」

思わず不機嫌な声がでた。
休み時間次授業の準備をしていた私の頭上から声がかかった。
学校で私を百香と呼ぶ人間はいない。
正確には昨日まで居なかった。

「柏原会長…」

「廣太郎って呼べと言っただろ?」

ムッとして睨み返す私の上に影が覆い被さり、

「んっ…」

瞬く間も無く言葉を封じられた。

教室がざわめく。
皆の注目が集まる。

嫌だ!
私の作り上げてきたものが崩れていく…

突き放したいのに、見た目に似合わずの馬鹿力で腕を拘束されてかなわない。

逃げられないことに焦り、頭が真っ白になった頃、ようやく唇が解放された。