「王子に対する非礼、一生かかってもつぐなうのです。本物の宰相様を見つけたときのように、偽の宰相の正体を暴いておやりなさい」
しばらく考えて、アレキサンドラはとりあえず泉の水をくんだ瓶を母に渡そうとした。
「それこそ愚行ですよ。おまえはこれを持って戦(いくさ)に臨むのです。王政が貴族達のものになってしまう前に」
少女は黙った。各地方で行われていた戦によって、うまく立ち回って財を成した闇商人達が名を得て、名誉貴族としてこのアドラシオー国周辺まで進出してきているのだ。
そして、いまや玉座には偽の宰相マグヌスがふんぞり返っており、商人達に値を付ける自由と輸入の制限を無くす、など特権をあたえ、知らぬ間に王の権威と威厳は風前の灯火。
「できるだけ大勢の人間がいる前で、偽の宰相にこれを頭から注いでやるのです」



