「リリアか。見たところは変わってないが、得意の術で若返って見えるようにしてるのか?懐かしいな。昔は仲間として共に戦いを繰り広げたものだが。何度も死線をくぐり抜けて。今は何もかもが懐かしい」
なぜだ、宰相、といつもの調子で尋ねると、
「ずっと、いや、この一夏、涼しく泉の底で眠っていたからでありましょう」
「私を目覚めさせたのが王子サフィールでなかった理由はなんなのだ」
「さあ、田舎娘でもたぶらかしておられたのでしょうかねえ。なにしろ花乙女と結託なさる首尾の良さ。たぐいまれなる情報通ですな」
「そこ! 聞こえたぞ。父上まで! だれが必死で方々行方を捜し回っていたと思っているのですか」
「聞こえんな。いまひとつ」
「聞こえませなんだ。古老めにはとんと」
「急に耳が遠くならんでください!」
王子は彼にしては大きな声で、苛立たしそうに糾弾した。



