「ご自分の国のこともまともに覚えていらっしゃらないのですか? 民が泣きますよ!」
「うむむ、どこかの山の中かと思うのだが」
「あなたの国には三つも四つも山があるのですか? そうではないでしょう。ここは!」
王は見ていた。
自分が認めた花乙女である彼女が、どんなに自分の帰還を待ち望んでいたか。
そして、自分はその涙に対し、なんと無力であったかを痛感していた。
「ここは……人々が、そしてあらゆる生き物が憩いと薬効を求めてやってくる泉ですよ! ちなみにあなたの国の泉はここだけです」
くすくすくす、
どうやら王の後ろから笑い声がする。
封印されていたのは王だけではなかったのだ。
王妃も、一緒だった。



